人生はメンタルが9割 心の穴研究家 内山和久のブログ

【本質論】裏切りから立ち直る方法【社員の裏切り、恋人の裏切りプロコーチが解説】

その他 心の穴コーチング

こんにちは、内山です。

今回のテーマは

人に裏切りから立ち直る

プロコーチとしてセッションをしていると
クライアントから

『信頼していた人に裏切られた』

という相談をされることがあります。

例えば、パートナーの場合、
信頼していた人が浮気をしていた。

会社員の場合、
信頼していた上司が
自分の手柄を横取りしていた。

経営者であれば
信頼していた取引先が
突然、別の会社に乗り換えた、など。

信頼していた人から裏切られる
その精神的なダメージは
間違いなくトップクラスです。

今回は2人のクライアントに許可を頂き

信頼していた人から裏切られ
精神的に落ち込んでいた状態から
どのように回復したのか?をお伝えします。

今回は、

信頼していた人に裏切られ
今も落ち込んでいる方に向けて書きます。

そのショックは必ず回復できます。

◆会社経営者の佐藤さんの場合

まず最初に紹介するのは
会社経営者の佐藤さん(仮名)50歳。

佐藤さんは都内のIT会社に勤めた後、
37才で同僚と2人で起業。

2人でIT会社を設立しました。

佐藤さんは持ち前の努力で会社を大きくし
従業員も50名を超えるまでになりました。

しかし、最も信頼していた元同僚が
会社のお金を横領していたことが発覚。

佐藤さんと元同僚は
会社員時代からの苦楽を共にした仲で
二人で会社を大きくしてきた
最高のパートナーでした。

最初は信じられなかった佐藤さんですが、
そのパートナーに横領の件を確認すると
もう二度としないと謝罪したため
一度は許すことにしました。

しかし、その2年後に
再び横領していることが発覚。

パートナーをクビにするだけで
事件にはしませんでした。

佐藤さんは度重なるショックで

・自分はどこかで接し方が間違っていたのではないか?

・自分が悪いんじゃないか!

と強く自分を責めるようになりました。

そして、

『また裏切られるんじゃないか?』

という恐怖心から
対人恐怖症になってしまいます。

その結果、新しく社員を採用することができなくなり
会社を大きくすることも諦めてしまいました。

元々、50人以上いた社員も
どんどん減っていき残り8人になった時、

佐藤さんはうつ病になってしまいました。

◆主婦 田中さんの場合

もう1人のクライアントは
結婚をされ2人のお子さんがいる
田中さん(仮名) 44才。

10年以上の結婚生活で
旦那とほとんど喧嘩をしたことがなく
良好な関係だと思っていたら
当然、夫がこんなことを言いました。

『好きな女性ができた』

『俺には俺の人生があるから好きに生きる』

『だからお前たちも好きに生きろ』

そう言い残していきなり家を出ていきました。

信頼していた夫に裏切られた田中さんは
その現実を受け入れられず
ショックから立ち直ることができません。

さらに取り残された子ども2人を
1人で育てないといけないプレッシャーから
押し潰されそうになりました。

昔から母は強し!と言われる通り
自分の為ではなく子どもの為、
強く心に言い聞かせ、頑張ることを決意します。

しかし、夫が出ていったのは
私の責任ではないか?と
強く自分を責めるようになりました。

信頼していた人から裏切られる苦しみ

人生には試練の時期もありますが、

『信頼していた人に裏切られる』

これは試練と呼ぶには
あまりにも辛い状況です。

さらに、お二人の場合、

『私が悪い!』

と自分自身を責め続けました。

会社経営をしていた佐藤さんは、
他の社員のためにも早く立ち直って
頑張っていかないといけない。

しかし、ショックが大きすぎて
とても頑張る気が起きない。

人を信用できなくなり
仕事に集中することができません。

突然、夫に裏切られた田中さんは
取り残された絶望感を噛み締めながら

『夫が出て行った原因は私にある』

と自分自身を責め続けました。

前を向いて歩き出さないといけないけど
背負っている荷物が重すぎて
立ち上がることができない。

このような精神状態になってしまいました。

まず、裏切られた人に
お伝えしたいことは

『無理に立ち直る必要はない』

ということ。

今の状態から立ち直りたいのは
よく分かりますが、

どんな人でもいきなり
100キロの荷物を背負わされたら
動けなくなります。

どれだけ気合を入れても
重いものは重い。

100キロの荷物が
いきなり5キロにはなりません。

世間では、裏切られた人へのアドバイスとして

・自分を責めないで
・冷静に対応してください
・頑張って相手を見返そう

こうしたことが言われたりします。

しかし、いくら自分を責めるな!と言われても
「言うは易く行うは難し」の典型で
簡単にできれば誰も苦労しません。

だから、無理に立ちあがる必要はないし
今まで以上に頑張る必要もありません。

とにかく、大切にして欲しいことは
無理に立ち直ろうとしないこと。

ゆっくりで大丈夫。

必ず立ち直ることができます。

また世間を見渡すと
信頼していた人に裏切られた人は
沢山います。

例えば、経営者では
日本を代表する実業家
ソフトバンクの孫さんも
裏切り行為を受けています。

孫さんはソフトバンク創業2年目に
肝硬変と慢性肺炎と診断され
余命5年の宣告を受けます。

そして、そこから
3年半も入退院を繰り返しています。

そんな厳しい状況の中、
目をかけてきた部下20人が裏切ります。

しかもライバル会社と裏で通じ
孫さんが作り上げたビジネスモデルを
巧みに改良しライバル会社を立ち上げました。

孫さんはあまりのショックに
泣いて引き留めたそうですが
結果的に引き留めることができず、
自分を責め続けたそうです。

自分が病気で死ぬかもしれない。

精神的にも肉体的にもどん底の中で
さらに20人の部下に裏切られています。

あの苦しみは本当に辛かった・・・と
孫さんの自伝に書かれています。

またホリエモンは
ライブドア事件の時に
交渉や人事などを全て担当していた右腕が
検察と共謀し全ての罪をホリエモンに被せ
刑務所に収監されてました。

そのトラウマ的な経験が原因なのか
刑務所から出所してから
ホリエモンは組織を作ることを一切していません。

会社組織を持たず
たった一人で頑張っています。

また、主婦の場合、
渡辺謙さんの娘で女優の杏さんは
3人の子どもを育てている時に
夫の東出さんは子育てを一切せず
その代わりに浮気をして
身勝手に家を出ていきました。

世の中には沢山のシングルマザーがいますが
育児、仕事、家事、
この3つを全てをこなすのは
かなり無理があります。

信頼していた人が裏切る。

これは残念ながら
誰にでも起こりえること。

アドラーの視点から裏切りを考える

三大心理学者のアドラーは
人が裏切り行為など
他人の意思決定はコントロールできないと言いました。

これが有名な「課題の分離」という概念です。

アドラー曰く、
いくらあなたが相手を信頼していたとしても、
その信頼に相手が応えるかどうかは
残念ながらコントロールできない。

そして相手の課題に口を挟んではいけない。

そう言いました。

確かに理屈ではその通りです。

しかし、いくら頭で理解できても
心で理解するのは困難。

あーそうか!それは仕方がないね!

と簡単に割り切ることはできないでしょう(苦笑)

なぜなら、人は感情の生き物だからです。

感情がベースにあり
その上に知性がある。

割り切るということは
自分の感情を切り捨てるということ。

これは我々人間にとって
容易なことではありません。

なぜ、相手を責める人と自分を責める人に分かるのか?

ここで改めて考えてみたいことがあります。

それは相手に裏切られたことに対し
『相手を責める人』と『自分を責める人』に
なぜ、分かれるのか?ということです。

相手を罵るだけ罵り
噴き出す怒りの感情を
前向きのエネルギーに変換する人もいれば

相手に怒りを感じつつ
「自分が悪かった」と
自分を強く責め続ける人もいます。

どちらも精神的に辛い状況であることは
間違いありません。

しかし、より辛いのは

「悪いのは自分だ!」

と自分自身を責め続ける人です。

「自分が悪かった」と
自分自身を責める人の多くは

人を信じることが怖くなり
場合によっては対人恐怖症になり
うつ病になることさえあります。

経営者であれば、佐藤さんのように

「また裏切られるかもしれない」

と思い、従業員を信じられなくなり
新しい人を採用することができなくなり
会社を大きくすることを諦めることもあります。

またパートナーに裏切られた田中さんの場合、
その強いショックから立ち直ることができず
異性と付き合うことが怖くなり

一人で孤独に生きていくことを
選ばれることもあります。

なぜ、『他人を責める人』と『自分を責める人』に分かれるのか?

実はこの両者は根本的に全く違う部分があります。

今からそれを説明していきます。

まず、裏切った相手を責める人、
その相手に100%怒りを向けられる人は
裏切られて自分を責める人に対して

どうして自分を責める必要があるの?

どう考えても相手が悪いでしょ!

そんなに自分を責めなくていいよ!

と言います。

しかし、自分を責める人は

確かにその言い分も分かるけど
だけど自分にも非があったかもしれない!

あの時のことが原因かもしれないし
あの時の自分の態度が悪かったかもしれない。

そう考え続けます。

両者の違いは一体、どこにあるのでしょうか?

社会心理学者のワイナーの視点

まず1つの視点は
社会心理学者のワイナーの
原因帰属理論で説明することができます。

ワイナーは

人が失敗や成功をした時に、
何に原因があると考えるか?を研究した人で、

それには『内的要因』と『外的要因』の
2つの側面があると考えました。

例えば、ビジネスで成功した人の場合、
その原因はどこにあるか?と考えた時に

Aさんは自分の能力や才能
そして努力に原因があると考えます。

つまり、成功した要因は
自分の内的要因が大きいと判断します。

具体的には、

自分の能力が高い。
自分には才能がある。
自分は成功するだけの努力をした。

このように成功した要因は
自分の内面にあると考えるわけです。

それに対して同じ成功をしたBさんは、
自分が成功した要因は、環境に恵まれ
運が良かったことが原因にあると考えます。

つまり、成功した要因は
自分の外側の話であり
外的要因が大きいと考えるわけです。

自分の能力や才能のおかげ
努力のおかげではなく
自分の外側に要因で私は成功できた。

このように考えます。

次にビジネスで
大きな失敗をした場合はどうでしょうか?

ビジネスで成功した時には
自分の能力や才能、努力のお陰で
成功できたと思うAさんは、

失敗した時には、

運が悪かった、環境が悪かったと
外的要因が大きいと判断します。

世の中にはメンタルが強い!とか
心臓に毛が生えている!と言われる人がいますが
その人たちは、このAさんのタイプ。

なぜプレッシャーやストレスを感じないのか?

それは自分には関係のない
外部要因は考えても仕方がない。

完全にそう割り切っているからです。

自分は自分のことだけをすればいい。

それを評価するかしないかは
自分には関係がない外のこと。

こう思っています。

それに対して、ビジネスで成功した時に
運がよかった、環境がよかったと思うBさんは

失敗した時には、

自分の能力や才能がなく
努力できなかった自分が悪い。

私自身が悪かった!と思います。

つまり、Bさんは成功した時には
自分以外のお陰だと判断し

失敗した時には
自分が悪いと判断するわけです。

このBさんのタイプは豆腐メンタルや
メンタルが弱い人と言われ

どんなことでも自分が悪いと思う傾向があります。

詳しくはワイナーの書籍を読んで欲しいですが
残念ながら英語版しかないため
できるだけ分かり易くお伝えしています。

今回のテーマである

人に裏切られた時に、自分を責め続けてしまう人は
ワイナーの説で考えれば、

成功した時には自分以外のお陰、
失敗した時には自分の責任と感じる。

このタイプの人が当てはまります。

今回、ご紹介した佐藤さんと田中さんも
まさしくこの特徴が当てはまっていました。

社会心理学者のバンデューラの視点

社会心理学者のバンデューラが
自己効力感という概念を提唱しています。

自己効力感とは、

自分がある状況において
必要な行動をうまく遂行できると、
自分の可能性を認知していること。

自己効力感が高いほど
自分の目標を達成する能力がある
という認知を指します。

自己効力感は英語では

『Self-efficacy』

と書き、コーチングで使われる
エフィカシー(efficacy)は
バンデューラを起源としてます。

例えば、自己効力感が高い人が
何かの問題に直面した時に

自分ならこの問題を解決することができる!

と思いますが、

自己効力感が低い人は

自分にはその問題を解決できない!

と思います。

これはまさしくコーチングでいう
エフィカシーと同じ概念です。

なぜ、このような差が生まれるのか?

実は自己効力感を分解すると

『結果期待』と『効力期待』

に分けることができます。

結果期待とは、

これをすればうまくできるはずだ!

こういう行動をしたら
こういう結果になるだろうという予測すること。

効力期待とは、

それが私はできるはずだ!

その目的を達成するための行動を
自分ならうまくできるだろうという予測すること。

自己効力感は、この2つをベースにしています。

もっと分かりやすい言葉にすれば

私はやっても大丈夫だ!
私にはそれができる!

です。

例えば、会社員から起業したい!
と思った時に

『私はやっても大丈夫だ!』

が低いとどうなるのか?

私は会社を辞めてはいけない。
私は起業をしていけない。
私はみんなと同じことをしないといけない。

このようなブレーキがかかります。

さらに、

『私にはそれができる!』

が低いと、

私に起業は無理、できない。
私にはそんな能力や才能はない
私にはそんな実力派ない。

このようなブレーキがかかります。

裏切りから立ち直るために

今回のテーマである
信頼している人から裏切られ
立ち直る時に時に大切なのは

『私にはそれができる!』という
『効力期待』です。

私は今の辛い状態から
きっと立ち直ることができる!
こうした効力期待が必要になります。

それでは、どうすれば
効力期待を高めることができるのか?

めちゃくちゃ大切な本題です。

裏切りから立ち直る為に必要なことは

『自己理解と自己欲求を高めること』

です。

裏切られて自分を責めてしまう人には
ある特徴があり、

それは他人のためになら
力を発揮することができますが、

自分のために力を発揮することが苦手な傾向があります。

つまり、自分が幸せになるため
自分の傷を癒す
自分のためにお金を稼ぐ
自分の利益を追求する。

こうしたことが苦手な傾向があります。

これに対して、裏切った相手を責め
怒りの感情を爆発させる人は、

自分のため(内的動機)が強く

自分が幸せになるため
自分の傷を癒すため
自分のためにお金を稼ぐため
自分の利益のために
力を発揮することができる傾向があります。

もちろん、
裏切った人を強く責め続ける人と
自分のことを強く責め続ける人の間には
グラデーションがあります。

裏切った人を100%責める人もいれば
裏切った人を50%、自分のことも50%責める人、
自分のことを100%責める人がいます。

先に結論からお伝えすると

裏切られたショックから立ち直れない人は
自分のことを90%以上責める人に多い傾向があります。

この傾向は自分を責める割合が
100%に近い人ほど顕著に現れます。

自分のことを責め続け
自分のことが許せず
人を信用できず
孤独と共に生きてしまう。

こうした傾向があると言われています。

裏切りから立ち直るためには
まず自己理解を進めます。

その結果、なぜそんなにも自分を責めるのかが
心で理解できるようになります。

今までの生き方の全体が理解できるようになります。

すると、そんなに自分を責めなくてもいいかもしれない。

このように思えるようになってきます。

ここから自己欲求が高まり

これから『私自身』が本当に望む人生は
こういう生き方だ!

という新しい生き方が見えるようになります。

再び歩き始めるまでの流れ

最後に佐藤さんと田中さんの話をします。

お二人はまだセッションを始めて四ヶ月以内ですが
いくつか分かったことがあります。

それはお二人とも

『未来に希望を持ってはいけない』

という『心の穴』があったことです。

希望を持ってはいけないから
自分を責め続けてしまう。

未来のことを考えようと思っても
ビジョンが出てこない。

そのビジョンが途中で消えてしまう。

このような特徴がありました。

しかし、セッションを続けることで
『心の穴』が埋まっていきました。

そして未来のビジョン
コーチングでいう(ゴール)が見えてきました。

佐藤さんの場合、
以前から興味があったことを
新しいビジネスとして進めることにしました。

そして、つい最近、新しい社員を採用しました。

今まで「また裏切られるかもしれない」
という対人恐怖症がありましたが
その恐怖が徐々になくなり、
新しい目標に向けて歩み始めました。

たった1人の社員ですが
佐藤さんにすればこれは非常に大きな一歩。

自分を責めず、相手も責めず、
もう一度起き上がり、前を向いて歩き出しました。

夫に裏切られた田中さんも

『未来に希望を持ってはいけない』

という「心の穴」がありました。

しかし、今は子どもたちと向き合い
新しく趣味であるヨガを始められ
そこで新しいつながりが広がってきました。

そこでは笑顔で話すことができ
寄り添って話を聞いてくれる人もできました。

人生はいつからでもリスタートができます。

精神的に辛い時ほど
無理に頑張らず

話を聞いてくれる人、
応援してくれる人と一緒にいる

好きなことを見つけて
ダラダラするのもありです(笑)

結局、精神論の話になりましたが、
身体を動かすこと、ウォーキングや
筋トレなどもオススメです。

もし、今回の記事を読んで共感できた人は
今のあなたの状況をメールで教えてください。

俺が直接、読んで必ず返事を書きます。

メールの件名は
「裏切りから立ち直る」
です。

あなたの声をお聞かせください。

info@c-efficacy.com

頑張っていきましょう!

それでは!

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